ゲームが仕事になる世界?ブロックチェーンがもたらすゲームへの影響とは

こんにちは。GameWith人事部の牧野です。

CryptoKittiesの登場により注目を浴びているブロックチェーンゲーム。DApps(ブロックチェーンで動くアプリケーション、分散型アプリケーション)の情報をまとめているSTATE OF THE DAPPS(※)によると、DAppsゲームは2018年5月時点で335個掲載されています。

ブロックチェーンはまだ実用化には時間がかかると言われていますが、将来のビジネス利用を見据えた研究開発に取り組む企業も増えつつあります。今回はGameWithがブロックチェーンをどのように捉えていて、ゲームにどんなインパクトを与える可能性があるのかを代表の今泉と考えてみます。

ブロックチェーンで現れる「デジタルアセットの所有」のビジネス化

牧野:今泉さんはいつからブロックチェーンに注目されてましたか?

今泉:ブロックチェーンについては昔から聞いたことはあって、なんとなくは知ってました。でも仕組みや特徴を理解していたわけではなくて、意識して理解しようとしたのは昨年(2017年)の夏頃ですね。

牧野:ブロックチェーンをどのような技術、言葉として捉えていますか?

今泉:個人的にブロックチェーンという技術がもたらすこととして大きいと思うのが「デジタルアセットの所有」という概念だと思っています。
これまでデジタルの世界ではサービスの「利用」に対してお金を払っていました。例えば音楽のサービスではApple Music。月額固定で音楽を聞き放題ですが、ユーザーが音楽を所有しているわけではありません。

一方で、アナログの世界では好きなアーティストのレコードやCDを「所有」するというのは一般的な概念です。アナログの世界だと「利用」と「所有」のどちらも存在していて経済が成り立っています。デジタルの世界ではこれまで「所有」という概念がなかった。特定のプラットフォーム内で音楽を購入するというのはありますが、それはプラットフォーム外に持ち出すことができないし、売却したり譲渡するなどの自由が効かないので「所有」しているとは言えない。

デジタルデータは容易にコピーできてしまうため、中央集権的に管理せざるを得なかったのだと思います。ブロックチェーンを活用すれば、特定のプラットフォームに依存することなく、デジタルアセットの所有権を明確にすることができます。データのコピー自体を防ぐことは難しいかもしれませんが、誰が本物を所有しているのかを明確にできます。

デジタルの世界にも「所有」という概念ができることで、新しいビジネスチャンスとして大きな魅力だと思っています。

牧野:僕も実際Amazonの音楽聴き放題サービスを使っていますが、所有というより、利用というイメージしかないですね。

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今泉:そうそう。Amazonなどのプラットフォームで音楽を聞く分にはいいんですけど、その音源を外には出せないですよね。所有ではなくて、あくまでそのプラットフォームでの利用だから。

ブロックチェーンによってデジタルの世界でも「所有」に対してお金を払う概念が進むかもしれません。絵画を例にすると、見ることが「利用」に該当すると思うんですけど、別に購入して「所有」していなくても、美術館などにいって見ることはできますよね。「利用」だけなら必ずしも「所有」する必要はないんです。それでも絵画にお金を払って「所有」したい人は多くいます。

アナログな世界では「利用」と「所有」が同時並行で経済を成り立たせていますが、デジタルの場合は「利用」できることに重点が置かれ、「所有」という概念がついてきていなかったと思っています。

牧野:デジタルアセットを所有するという概念がビジネスとして大きな影響を与えそうだと感じたのは何がきっかけだったんですか?

今泉:これもいろんなきっかけはあったんですけど、わかりやすいものでいうとCryptoKittiesですね。デジタル上の猫に価値がついたのは気づきになりましたね。(1匹のデジタル猫が246ETH、当時のレートで11万ドル以上の価格で取引されていた)

一般的な考えだと目に見えない、触ることもできない猫にそれほどの価値がついて、取引されるってありえないと思いますが、実際されているわけで。またBitcoinだけでなくてその他の仮想通貨も多くの人が買うようになって、みんながデジタル上の資産を所有しているような感覚を持ち始めていると思うんです。CryptoKittiesなら猫、仮想通貨ならコインをデジタルで持っているという感覚がこれからは広がるのかもと思います。

牧野:ブロックチェーンには改ざんが難しいという特徴がありますが、それが活かされる形でしょうか。

今泉:確かにブロックチェーン上のデータは改ざんできないですが、すべての不正を防げるわけではないですよね。例えばブロックチェーン上に音楽のオリジナルデータを保管したとしても、音楽ファイルを複製すること自体は防げないはずです。つまり偽物は作れるんです。でもどれが本物かはブロックチェーンで保証することができる。偽物は無数にできるかもしれないけれど、本物のオリジナルファイルは世界に1つしかなくて、それを欲しいと思う人がいるなら価値がつく。絵画も同じで、世界に1つしかない本物には価値がついて、偽物は誰も欲しがらないから価値が付かない。

曲を聞くだけだったら別にオリジナルでなくても構わないけど、コレクションとして世界に1つしかないオリジナルを所有したいみたいなニーズってあると思っていて、そんな形で「利用」と「所有」はわけて考えることができます。

牧野:ユーザーの選ぶ選択肢が広がるイメージですね。

今泉:「所有」したい人もいれば「利用」だけでいい人もいる。時計もそうですよね。今何時かを知るだけだったらスマートフォンで見ればいいけど、高級な時計を集めたいという人もいる。「利用」を目的にして「所有」することだけじゃなくて、「所有」することが目的になることもあって、さらに同じ嗜好性のある人同士で物の流通が起こる可能性がある。デジタルアセットの所有という概念もそれと近いと考えています。

サブスクリプションモデルの発展でコンテンツの「利用」料はデフレしていますよね。Amazonプライムで映画も見れるし、本も読めるし、音楽も聞けるような時代ですが、「所有」へのニーズはまた別に存在していると思います。

ブロックチェーンでゲームが仕事になる?

牧野:2017年からブロックチェーンを利用したゲームがたくさんリリースされています。

今泉:現時点でのブロックチェーンゲームは仮想通貨投資の側面で語られたり、使われたりすることが多いという印象です。Bitcoinからアルトコイン、そして草コインときて、ブロックチェーンゲームみたいな。CryptoKittiesなら猫を買って交配させて、買った金額以上の猫が生まれるかのような。資産運用とか投機というイメージが強くて、あまりゲームになっていないですよね。お金を増やすためのゲームみたいになっちゃっています。ゲームアイテムをブロックチェーンに乗せて、現実の経済圏とゲームの経済圏が交差するにはまだ少し距離があると思っています。

牧野:ブロックチェーンがゲームに与える影響はどんなものを予想されてますか?

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今泉:先の話と繋がりますが、ゲーム内のデータをデジタルアセットとしてユーザー自身が所有できるようになることが大きいと思います。今のゲーム、特にスマートフォンのゲームなど、ユーザーは多くのアイテムをゲットしますよね。それはゲームのクリア報酬であったり、ガチャであったり。でもこのアイテムってユーザーの所有物ではないですよね。あくまでゲームの中でそのアイテムを利用することができるだけです。

ブロックチェーンをゲームに活用することによって、ユーザーがゲームで手に入れたアイテムをデジタルアセットとして所有できるようになる。これはゲームに大きな影響を与えると思います。ゲームってこれまでただ単に遊びでしかなかったと。最近ではeスポーツという言葉が注目されて、「ゲームを仕事に」する人が増えていますが、あくまでこれらの人は全体のごく少数の人です。ほとんどの人にとってゲームは遊びのままなんです。

ただゲームにブロックチェーンが組み合わさって、ユーザーがゲームのアイテムやデータをデジタルアセットとして所有できるようになると、多くの人が「ゲームを仕事に」できる可能性があるんじゃないかと思っています。例えばMMORPGのようなゲームで、1日に1個しかドロップされないアイテムがあったとして、それを手に入れるためにゲームをする。手に入れたユーザーはそのアイテムを所有することができる(利用もできるけど貴重性が高い)。一方そのアイテムが欲しかったけど、手に入らなかった人、忙しくてゲームする時間がなかった人がアイテムを購入したいとなったら、そこに需要が生まれるわけですよね。つまりデジタルなアイテムに対して値段がつく。ユーザーはこの売買を通して収入を得ることができたら文字通り「ゲームが仕事」になります。

でもガチャがメインのゲームだとこれは厳しくて、お金を使うことでランダムにデジタルアセットを手にいれるモデルだとゲームというよりは賭博みたいな形になってしまう。需要があることには価値がある。Excelで表をつくるとか、パワポで資料をつくるとか、現実世界ではこれらが仕事になるわけで、ゲームの世界でもそれは実現し得るんじゃないかと思います。

牧野:ゲームが生産活動になるんですね。

今泉:今ってゲーマーがいくらゲームをしていてもGDPには入らないわけですよね。でもブロックチェーンが実現することとして、ゲームの経済が現実の経済とリンクすることで、ゲームプレイが生産活動になってくると面白いですよね。日本中でゲーマーがゲームに費やしている時間ってどれくらいあるんだろうって考えたら結構なインパクトがあると思います。

牧野:ゲームパブリッシャーへの影響はどうでしょうか。

今泉:既存のゲームのモデルにそのまま当てはめるのは難しいと思います。今はガチャを収益の柱にしているものが多いですよね。またプロデューサーが作り上げる世界観をいかに実現するかが重要ですが、ブロックチェーンゲームの場合、ユーザー同士が比較的に自由に繋がっているため、世界観のコントロールが難しいと思います。

それとチート対策も大変になると思います。デジタルアセットをユーザーそれぞれが所有して、価値がついて、流通できるようになったら、チートを仕込んで儲けようとする人が出てくると思います。金銭的なメリットに繋がってしまうわけですから、チート対策のコストはこれまでのゲームよりも大きなものになると思います。

一方パブリッシャーからするとブロックチェーンを活用した新しいビジネスモデルを作るチャンスでもあると思います。例えばゲームをする人の中で、無課金にこだわりたい人って多いと思うんですが、それが更にゲームをして稼げるとなると燃えるんじゃないでしょうか。時給換算すると大きい額ではないかもしれないけれど、無課金でゲームができて、集めたアイテムを売ることでいくらかお金がもらえるとなったら、そうしたゲームに移行するユーザーが現れても不思議ではありません。

ゲームってこれまでは遊び、暇つぶしとして楽しまれてきましたが、実際稼げるかもしれないし、レアなアイテムを手に入れることができたら大きな資産を得ることができるかもしれないってなったら夢があるじゃないですか。そうなるとこれまで以上にゲーム人口が増える可能性だってありますし、ゲーム市場の踊り場を脱する機会の一つかもしれませんよね。

新しいビジネスモデルがブロックチェーンによってもたらされても、今のゲームが消えるわけじゃないと思うし、むしろ共存していくと思います。あくまでユーザーの選択肢が広がるという形です。

牧野:GameWithの理念にも繋がりますよね。

今泉:そうですね。GameWithの企業理念は「ゲームをより楽しめる世界を創る」ことでして、その中でも「ゲームが仕事になる世界」が果たすインパクトは大きいと思っています。プロゲーマーや一部のゲーマー以外はなんとなくゲームをする時間って後ろめたさを感じたりしてますよね。ゲームをするなら本読んだ方がいいとか。

でもゲームが好きだし、誰よりもうまくゲームをすることができるって思っている人もいます。「ゲームが上手い」というのは僕は価値があることだと思っていて。でも今は現実世界の経済とはリンクされていないので、金銭的な価値がつかないですよね。
ブロックチェーンによってデジタルアセットの所有が可能になり、ゲームが仕事になる世界が創られたら素晴らしいことだと思っているし、GameWithも注目していきたいと思っています。

(※参照元:https://www.stateofthedapps.com/dapps/tagged/game/tab/hot

牧野拓也
人事部所属、GameWith Magazine編集長。1989年生まれ、愛知県出身。2018年3月より現職。
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